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2009.12.11

和田です。─ 工場での「モノ」は、ホワイトカラーでは「情報」 ─

20091211.jpg 富士通の和田です。

サイバー大学の前川さんからバトンを受け取りました。前川さんには富士通総研経済研究所ご在籍時代に社内カイゼンイベントで講演していただくなど、大変様々なご協力と学びをいただきました。

前川さんのコラムから、「この道」に入った経緯を書くこともバトンの一部かなと勝手に解釈し(笑)、少し書かせていただきます。

高校時代、雑誌I/Oの「芸夢狂人」ファンで、PC-8001を思い切って購入しました。PCゲーム、アーケードゲーム、そしてZ80のコードを書く魅力にハマり、大学を卒業したら、憧れの namco に就職しようと心に決めてました。

しかし、大学のバイトで某予備校システム部門のパンチ要員を努めた際に、あまりの「事務システム運用のダメさ加減」を味わって開眼(!?)し、メーカーに入社しました。

当時、IT業界は大人気で、様々な分野の人がSEとして就職していました。実際、先輩の女性2名とも心理学専攻だったですよ(笑)。しかしバブルが弾け、現場の過酷さが増してくると、業界の魅力が薄れてきました。僕自身も現場の過酷さの中でプログラミングの楽しさを忘れかけていた時、出会ったのがXPとTPSでした。

XPはアジャイル開発の代表格としてみなさんご存じと思いますので省略します。NHKスペシャルで放送されたTPSの話から衝撃を受けました。工場を改革する話だったのですが、私がそれまでTPSに対して漠然と思っていたこととはあまりにも異なる内容でした。

人の知恵を活用することが中心に据えられていて、現場で働く人々が生き生きしていました。その番組でTPSを指導していた人の言葉「人間の意志ってすごいものだと思いますよ。それが、人間の能力を止める管理をしてしまっている。一人一人はまだ凄い能力を持っています。」が心に響きました。

これは、私が直面していたIT現場の疲弊をTPSで救えるのではないかとの光明を発見した時でした。一人一人が生き生きと幸せに働くために役に立てそうだ、と。

それ以来、XPとTPSの両方を比較しながら研究してきました。TPSはホワイトカラーへの適用が世界レベルで始まっていますが、失敗するケースが相次いでいます。これは、XPに代表されるアジャイル開発適用の困難さと類似しています。どちらも手法をまねただけでは表面的な活動にとどまってしまい、根本的に解決したい問題に踏み込めません。もっと奥にある「思想」を感じ取ることが重要です。両者は根本では共通の思想を持っていて、先行する工場を参考にしてホワイトカラーで進めているTPSと、開発現場で先行するアジャイルで、双方がそれぞれを参考にして高めあえると思っています。

ここ3年ほどホワイトカラーの現場でTPSベースの改善推進活動を本業としてきました。XPとTPSの根幹にある共通の思想が漠然とながら自分なりに定義できたように思います。それは「考えて知恵を出す」ことです。なんだか当たり前のようですが、これを全ての中心に据えて軸をブレないように現場にアドバイスすることで、現場の成長に良い影響をもたらしています。

一言に「考える」といっても、考える価値のあることを考え、そうでないことはムダと捕らえ、考えなくていいように工夫することが大事です。例えば、脳を単純記憶装置として使うのはムダですから、紙などに書いて貼ることで、覚えなくて済む、すなわち脳に空きを作り、価値あることを考えることに使うことができます。

工場での「モノ」は、ホワイトカラーでは「情報」です。工場が「モノ」を大切に扱うのに対して、今のホワイトカラーの仕事のやり方を見ると、情報を粗末に扱いすぎているのではないでしょうか。例えば、言った言わないの争いや、たぶんこうだろうと確認せずに進めて手戻りする、など。相手に情報を確実に伝達し、相手の知恵を確実に受け取りたいのであれば、相手に確実に伝わる形に情報を加工し、必要ならば図として表し、受け取る相手が集中して考えられるよう、考えやすい順番に淀みなく伝えることが必要です。この観点でかなりのムダを省けます。

繰り返しを活用することも「考えて知恵を出す」ことにつながります。仕事の中に繰り返しを見つけることは、比較して考えるための土台を身近に見つけることです。情報の鮮度が新しいほど考えるネタは多く、古いほど記憶があいまいになり、考えるネタが少なくなります。だから身近に頻繁な繰り返しを見つけたり、作り出したりすることは、とても重要です。一見繰り返しのないホワイトカラーの職場にこそ、この考え方が必要です。

チームワークも同様です。仕事を共有しているチームメンバの意見は、ものすごく思考を深めてくれます。自分では気づかないことへの指摘を「宝」と思うか、「面倒」と思うかで、チームの成長のみならず、自分の成長を大きく左右します。だから「毎日の朝会」と「毎週のふりかえり」は重要なのです。

TPSの数々の手法である「かんばん」や「アンドン」に代表されるツール群は、全て価値のあることを考えるための巧みな手段であると感じています。アジャイル開発の数々の手法も同様です。表面的な手法に振り回されず、使いこなして日々考え知恵を出すことが、仕事のやりがいにつながり、ひいては人の幸せにつながると信じています。最後に、アジャイルとTPSはホワイトカラー全般に通じる概念であり、IT業界の魅力を取り戻すためのアプローチになると確信しています。

前川さんのバトンに対する答えになっているかどうかはわかりませんが、書きたいことを書けたので幸せです(笑)。

さて、次のバトンは、Agile Japan 2009で弊社事例をモデレートしていただいたNECソフト株式会社の安藤寿之さんにお渡ししたいと思います。アジャイルと改善活動の関係あたりなどをお伺いしたいです。どうぞよろしくお願いします。

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