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2009.11.30

サイバー大学の前川です。─ 本来ソフトウェア開発はとても楽しいものです ─

20091130.jpg サイバー大学の前川です。
豆蔵の羽生田さんから、リレーコラムの重いバトンを受け取りました。

今は、サイバー大学(通学の必要がない完全インターネット制の国内唯一の大学)で情報経済論やITビジネス経営などを教えていますが、大学では情報工学を専攻し、通商産業省(現在の経済産業省)に入省してから1年半は業務プログラムを書き、その後2年半は情報システム開発プロジェクトの外注管理をしていました。

ちょっと古い話ですが、学生時代は鉛筆でFortranやBasicのプログラムを書いて、それをパンチカードに打って、マシンルームに持ち込んでデバッグをしていました。

通産省に入省してからCOBOLを勉強し、統計調査の集計や予算要求管理事務などのシステム開発をしていましたが、やはりプログラムは手書きで、それをパンチャー(パンチカードを打つ専門の人)に渡して、出来上がったパンチカードをデータの入ったテープと一緒にマシンルームの受付に出すという方法でした(いわゆるバッチ処理ですね)。少し大きい仕事は数人で分担していましたが、小さな仕事は一人で処理していました。

当時、利用していたマシンはNECの大型汎用機でACOS-6というOSで動いていました。このACOS-6というOSは、GEが開発していたGCOSというOSがベースになっていて、その先祖はMulticsです。つまり、現在のUNIXやLinuxと同じご先祖様なのです。ACOS-6は、バッチ処理だけでなく、TSS(タイム・シェアリング・システム)によるオンライン・リアルタイム処理も可能でした。そのTSSを利用して、端末機からハードディスクに蓄積されたデータファイルの指定したレコードだけを取り出して内容を確認するツールを、趣味的に開発しました。当時、データファイルの内容を確認するには「ダンプ」と呼ばれるバッチ処理を依頼するのが普通だったので、このツール(確か「オンライン・ダンプ」という名前で呼ばれていました)は開発者にとても喜ばれました。

今思えば、このツールを開発していた時は、知らず知らずのうちにアジャイル開発をしていました。最初に大まかな目標を決め、基本になる部分を作って動かしてみる。それから少しずつ機能を追加してテストをする。そんな作業を毎日繰り返して作成しました。(マニュアルと簡単な設計書は最後に作ったような気がします)たぶん、これがソフトウェアの一番自然な開発方法なのだと思います。

さて、私がアジャイルに興味を持ったのは、早稲田大学から富士通総研経済研究所に転職した直後の2003年の秋のことです。もともと、ソフトウェア業界やソフトウェア開発には興味があったので、富士通総研への転職を契機にソフトウェア技術者の生産性問題を研究テーマに選んだのです。ソフトウェア開発の現状を知りたくていろいろな人に会いました。ソフトウェア工学の研究者、大手ITベンダーのプロジェクトマネージャーから二次下請け、三次下請けの経営者や開発者。中には火消しの達人もいました。

本来、ソフトウェア開発はとても楽しいものです。自分のつくったプログラムが思ったように動けば、それは楽しいでしょう。30年前、「オンライン・ダンプ」を開発していた時もとても充実していました。なのに、インタビューで訪問したソフトウェア開発の現場は、体を壊して一人前だと言われたり、鬱になる人がいたり、とても楽しい仕事とは言えない状況でした。納期1週間前にプロジェクトリーダーが行方不明になってしまったという話も聞きました。

ただ、例外がありました。それがアジャイル開発を実践している現場です。アジャイル開発を実践している開発者は、なぜかみんな楽しそうだったのです。おそらく、顧客(クライアント)を含む開発チーム全員でプロジェクトの達成感を共有できるかどうかが、充実感の重要な要素なのではないでしょうか。アジャイル開発は、1回のイテレーション毎に着実にシステムが完成に近づいていくという達成感を味わえる、きわめて人間的な開発プロセスなのだと思います。

羽生田さんから受け取ったテーマの回答になっていないかもしれませんが、この思いバトンは、アジャイル開発の現場をよく知っている富士通株式会社の和田憲明さんに渡したいと思います。

和田さん、アジャイルは人を幸せにする思想が核になっているように思うのですが、いかがでしょうか。

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